珈琲大学
コーヒー豆の選び方
全国各地にコーヒー豆を販売している店舗は2万店以上あると言われています。
そんな数あるお店の中で、どのお店からコーヒーを買っていいかわからない。
これは長年コーヒーを飲んでこられた方にもなかなか難しい問題です。
美味しいコーヒーの条件とは・・・?
・素材=良質な生豆・焙煎=焙煎機と焙煎士の技量
・鮮度=焙煎してからの鮮度
この3つが挙げられます。
料理も、【素材・料理人の技量・調理からの鮮度】が重要ですよね?
それと同じです。なかでも、1番重要なのが鮮度です。
スーパーマーケットやデパートで「賞味期限一年」のコーヒー豆をよく目にしますよね。
そのコーヒーは一体いつ焙煎されたコーヒーなのでしょう。
コーヒーは焙煎後、炭酸ガスを放出し時間の経過とともに「酸化」していきます。酸化したコーヒーは体にも悪影響を及ぼしますし、味に大きな影響をもたらします。
まず、香りです。コーヒーの香りは揮発性ですので、焙煎後どんどん香りが失われていきます。
また、変な酸味も出てきてしまいせっかくのコーヒーの味わいが失われてしまうのです。
そういったコーヒーは、本来の味とはかけ離れてしまうわけですが残念ながら現実として存在します。そこで当店がお薦めするのは、
焙煎日を明記している自家焙煎珈琲店です。
喫茶店や自家焙煎店で買っていても、専門店だからといって新鮮だとは限りません。
現実に、酸化しているコーヒーを販売している喫茶店や自家焙煎店は沢山あります。店内に色々なコーヒー豆が沢山展示してあったり、ウンチクが書かれていてもそれだけで信用はできません。
★もっとも大切なポイントは・・・
焙煎してからどの位経過しているかです。
コーヒー豆の味と香りのピークは焙煎後2~3日後になりますので、その期間内に焙煎されたものをお薦め致します。
どんなに有名なコーヒー(例えばブルーマウンテン)でも鮮度が悪いのでは、本来の味とは程遠いのですから。★また、もう1つ大切なポイントは・・・
直火式の焙煎機だということ
焙煎する機械のことを「焙煎機」といいます。焙煎機は、大きく分けて「熱風式」、「半熱風式」、「直火式」の3つがあります。
焙煎機ごとの味の特徴に関しては各焙煎機の味の特徴にて説明しておりますのでそちらをお読みください。
当店のこだわりとして「直火式」の焙煎機が、最も素材(生豆)のポテンシャルを発揮できるものと考えております。
<まとめ>◎焙煎日を明記している自家焙煎店から購入すること
◎直火式の焙煎機で煎っていること以上に注意して美味しいコーヒーをお選びください。
コーヒー豆選びに迷ったら
◎初めて自家焙煎コーヒーを買われる方は、
「どのコーヒーを頼めばいいかわからない」と困惑してしまいますよね。
また、迷いながら、いつも同じ銘柄のコーヒー豆を購入してしまうという方も多いはず・・・。
「どんな味のコーヒーがお好きですか?」と聞かれても迷ってしまいますよね?
コーヒーの味の特徴は大きく分けて5つに分けられます。
・香り
・コク
・苦味
・酸味
・甘味
コーヒーの味は、生豆の種類(生産地)や焙煎度によって異なります。
生豆(生産地)による味の違いとは、例えばモカ、コロンビア、グァテマラは一般的に酸味が強く、マンデリンやケニア、タンザニアは香りが強い等のことです。
次に、焙煎による違いは下記のようになります。
焙煎時間が長ければ長いほど、苦味が強くなり香りが増します。
逆に焙煎時間が短ければ、酸味を味わうことができます。
ですので、気に入った生産地のコーヒーがあったとしても、焙煎度が異なれば味も当然異なりますので要注意です。
ちなみに当店のコーヒーは、酸味を抑え香り豊かな味に仕上げております。
このように、産地や焙煎度によって味の特徴が異なるのでその部分に注目してコーヒー豆を選んで頂くと宜しいかと思います。
ネット通販では、味の特徴を細かくグラフにしたり、説明文がございますのでそちらをご覧頂ければ分かりやすいと思います。
ただし、同じコーヒー豆を別の店で見つけても「価格が安い」という理由だけで安易に購入するのはやめましょう。
焙煎機と焙煎職人が異なれば同じコーヒー豆でも全く違う味になるからです。
<まとめ>
◎コーヒー豆の好みは、生豆の種類(生産地)と焙煎度で導くことができる。
コーヒー豆の挽き方とその特徴
◎慣れないうちは、コーヒー豆を挽く時に「どの位の大きさに挽けばいいか分からない」という方もいらっしゃるかと思います。
★コーヒー豆の挽き方には・・・、
・極細挽き・・・エスプレッソ用
・中細挽き・・・コーヒーメーカー用
・中挽き・・・ペーパードリップ用
・中粗挽き・・・ネルドリップ・サイフォン用
・粗挽き・・・パーコレーター用
の5つがございます。
細かく挽けば豆の成分が出やすいので濃い味になります。
しかし雑味も出易くなりますので注意が必要です。
粗挽きにして、粉の量を多くし旨味成分のみを抽出しているお店もございます。
コストを気にしなければ、かなり贅沢な飲み方です。
ちなみに当店でお出しするコーヒーにも、1杯(120cc)のコーヒーに対して20g(メジャースプーン2杯分)の粉を使用しております。
★ミルについて・・・
ご家庭でコーヒー豆を挽く場合、ミルが必要になります。
ミルとは、コーヒー豆を粉状に粉砕、またはカットするものです。
コーヒー豆は味の品質を守る為、「煎豆のまま」お買上げ頂きご家庭のミルで飲む度にお挽き頂くことをお薦め致します。
粉状にするとコーヒーの酸化が促進され、味と香りの劣化が急速に早まる為です。
ミルには、豆を粉砕する「グライディングミル」と豆を高速にカットする「カッティングミル」があります。
※グライディングミルとは・・・
二枚の盤の間にコーヒー豆を挟み込み、砕いて挽くミル。
※カッティングミルとは・・・
二枚の盤にカット刃を取り付け、豆への加熱をセーブしてカッターで切って挽くミル。
当店でお薦めするのは、カッティングミルです。
何故ならグラインドミルだと粉を粉砕する為、豆に熱が伝わりやすく味の劣化をもたらす為です。
※おすすめミル・・・カリタ ナイスカットミル
業務用の性能をご家庭で。豆への加熱を防ぎ、味の劣化を抑えます。粗挽きからエスプレッソ用の極細挽きも可能です。使用時の運転音や振動も少なめ。
<まとめ>
◎コーヒーは「煎豆のまま」購入し、ご家庭でミルで挽く。
◎器具に合ったコーヒー豆の挽き方をする
コーヒー豆の保存方法
コーヒー豆の保存方法でお悩みの方も多いと思います。
正直、お店によってお薦めの保存方法は異なりますが、ここでは当店お薦めの保存方法をお伝え致します。
★まず基本的な保存方法ですが・・・、
密閉すること
コーヒー豆は湿気が大敵です。
焙煎することで豆に含まれてる水分は無くなり、乾燥剤状態になりますから、空気中の水分を取り込みやすくなってます。
また空気中の酸素とコーヒー豆の油脂が化学反応を起こすことにより酸化が発生しますので、できるだけ外気に触れない環境にしてあげましょう。
キャニスターや、密閉缶が無い場合は冷凍可能なジップロック等の袋でもOKです。
★次に・・・、
冷暗所に置くこと
直射日光や気温も大敵です。
豆の化学変化が起こりやすく、味の劣化が起こります。
★保存場所は・・・、
・常温(冷暗所)・・・コーヒー豆を1週間程度で消費する場合
・冷蔵庫・・・コーヒー豆を2週間程度で消費する場合
・冷凍庫・・・コーヒー豆を1か月程度で消費する場合
となります。
ちなみに冷凍庫で凍らせた豆は、コーヒーを淹れる際に
使う分だけ袋から出して自然解凍させてからお使い下さい。
お湯が沸いて、淹れるころにはもう解凍が完了しているはずです。
上記の保存期間は、煎豆の状態で保存した場合です。
粉の状態で保存した場合も保存場所は一緒ですが、酸化の速度が豆の状態と比べて早い為もっと早く消費して頂くことをお薦めしております。
<まとめ>
◎密閉する
◎冷暗所に置く
◎消費する期間に適した保存方法を選ぶ
◎コーヒーは粉より豆の方が賞味期限が長い
抽出器具の選び方
◎どんな抽出器具を使ったら良いか、抽出器具による味の違いを知りたい。よくこういうお声を頂きます。
お気に入りのコーヒー豆が見つかったところで、いよいよ抽出です。
抽出器具といっても様々な種類がありますので、ここでは器具毎の特徴を簡単にご説明致します。
◎ペーパードリップ
初めての方でも比較的簡単に美味しいコーヒーを淹れられるのが、ペーパーフィルターを使用するペーパードリップです。
★ペーパードリップの利点は・・・、
・フィルターが使い捨ての為手入れが楽であること
・安価
・器具がスーパーやコンビニなどですぐに手に入ること
◎ドリッパーについて
ペーパードリップといってもドリッパーと呼ばれる抽出器具の形状は様々です。そのなかで、代表的な物をご紹介致します。
~カリタ製品~
3つ穴式ドリッパー
初心者にも簡単に美味しいコーヒーが淹れることができます。
ペーパーフィルターを使用して行う簡単なドリップ抽出で、ドリッパーは陶器・樹脂・金属製など。抽出する底部に穴が三つ空いているのが特徴。
他社製品よりも粉の量を多めに用いることで、美味しさの成分を引き出し軽く爽やかな風味が味わえる。
~メリタ製品~
1つ穴式ドリッパー
フィルターの性質と透過能率から割り出した傾斜角度で、底部に穴が1つ空いている。
ドリッパーの内側には溝が設けられてお湯の流れの効率を助けるように作られているが、 構造上の問題から抽出時間にムラが起きやすい。
従ってストレートコーヒーの微妙な味を引き出すのは難しく、アイスコーヒーや深煎りのブレンドなどに用いられることが多い。
~コーノ製品~
円錐型1つ穴式ドリッパー
サイフォンメーカーが開発したドリッパー。円錐の型で大きめの抽出穴が一つ空いている。
安定した抽出時間と、無駄のないお湯の流れで美味しさの成分を抽出する。淹れる人間の想いを忠実に再現し、ネルドリップのようなまろやかな味わいになる為、珈琲専門店でも愛用されていることが多い。
◎ネルドリップ
ネル(布)の袋を使用した本格的なドリップ方式です。
淹れ方をマスターすれば、1ランク上の上質なコーヒーが味わえます。
★ネルドリップの利点は・・・、
・ペーパードリップよりも美味しさの成分を抽出しやすい
・まろやかで優しい味わいになる
★ネルドリップの欠点は・・・、
・使い捨てではない為、ネルの手入れに手間がかかる
・近所のスーパーや、コンビニでは手に入らない。
ネルドリップは、フィルターを片方の手で持ち、もう一方の手でポットから注湯するので、マスターするには時間を要します。
使用後は、油かすが付着しますので、良く水洗いをして、きれいな水に漬けて冷蔵庫で保管して下さい。
◎サイフォン
コーヒー通にも人気の抽出方法で、楽しいコーヒータイムを演出できます。
★サイフォンの利点は・・・、
・見た目のデザイン性でコーヒータイムを演出
・最高のコーヒーが味わえる
★サイフォンの欠点は・・・、
・器具の手入れに手間がかかる
・値段が若干高価
・準備から抽出までに時間がかかる
サイフォンで美味しくコーヒーを淹れる為にはそれなりに練習が必要となります。
「粉と湯との接触状態と接触時間です。
表面上のコーヒー粉をマドラーで8の字を描くように撹拌しながら均一にします。
撹拌の時間が長いと、成分の分解を起こし濁り、短すぎるとコクが出ません。
消火のタイミングなども求められ、美味しいコーヒーを抽出するには技術が必要となります。
◎コーヒーメーカー
今や家電量販店やインターネットなどで、安価な物から業務水準の製品まで手に入れられます。
★コーヒーメーカーの利点は・・・、
・ほぼ自動で気軽にコーヒーを楽しめる
・大人数のコーヒーを一気に抽出可能
・タイマー等の便利な機能が付いている
★コーヒーメーカーの欠点は・・・、
・味がドリップ抽出やサイフォンには遠く及ばない
・電気代や故障が発生する
以前はお湯の温度が熱過ぎたり低かったりすること、蒸らす時間がとれないこと、お湯の滴下が一点であることなどの原因で コーヒーの美味しい成分が十分抽出できない機種が多いかったのですが、最近は改良されも昔より美味しいコーヒーが楽しめるようになりました。
◎パーコレーター
お湯を沸かすような手軽さが受けて、欧米ではもてはやされていますが、作られたコーヒーがポットの中で循環しますので、抽出時間に気を配らないと、煮詰まったり香りが飛んでしまいます。
◎エスプレッソ
蒸気によってコーヒーを抽出する方法。
苦味の強いコーヒーですが、ラテやカプチーノ等を取り扱うシアトル系コーヒーショップの進出で最近人気になってます。
最近では手頃な価格の家庭用エスプレッソマシーンも発売され、9気圧以上の蒸気でクレマの立つ簡単に本格的な味を楽しめるようになりました。
コーヒー豆のグレードについて
世界各国の農園で作られたコーヒー豆は、現地で「スクリーン(形状)の大きさ」、「虫食い豆や異物(石や木片)の混入率」等様々な基準でランク付けされます。
人気のある産地や農園のコーヒーは世界中でオークションにかけられ価格が決定されます。
その中でSCAA(米国スペシャルティコーヒー協会)の評価基準で80点以上に認定されたコーヒーはスペシャルティコーヒーとされ高い評価を受けます。
スーパー等で目にするのはコモディティコーヒーと呼ばれる流通シェアが50%もある一般流通品です。
それに比べスペシャルティーコーヒーは世界に流通している流通シェアは5%程度と大変希少とされており、高値で取引されています。
★スペシャルティーコーヒーの定義は未だ明確な基準はありませんが一般的に・・・、
●消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中の、コーヒーの液体の風味が 素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーである事。
●風味の素晴らしい美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの味覚で消えてゆく事。
●カップの中のコーヒーの風味が素晴らしい美味しさである為には、コーヒーの種子からカップに至るまで全ての段階に於いて、一貫した体制工程で品質向上策、品質管理が徹底している事が必須である。
とされています。
要するに、一流の農園で育てられたとても美味しいコーヒということです。
また「産地毎の味の特性が明確に分かるもの」ということも条件に挙げられることもあります。
SCAAの評価は以下の項目にて総合的に評価され80点以上のものがスペシャルティーコーヒーとして認定されます。
- Fragrance/AromaFragrance:粉の状態で香りの質を判断する。
- Aroma:お湯を注ぎ、ブレイクした後の香りの質を判断する。
- Flavor:最初に口に含んだ時の全体的な味覚の印象。
- Aftertaste:液体を吐き出した後に長く続く後味の心地よさを評価。
- Acidity:酸味の質の部分のみを評価。
- Body:ボディの質を記入。
- Uniformity:5カップの均一性を、1カップ0点(欠点)or 2点(問題なし)で評価。
- Balance:酸味、ボディ等、全体のバランスが高い状態で保てているかどうかを1カップ0点or 2点で評価。
- Clean Cup:欠点が出ていないかどうかを1カップ0点or 2点で評価。
- Sweetness:甘みがあるかどうか。
- Overrall: 主観的に総合評価として判断・記入。
◎香りの種類
良質なコーヒーには、フレーバーコーヒーのような人工的に付け加えられた香料とは異なる自然な香りを感じることができます。
例えば、チョコレートやナッツ、アーモンドのような香りからオレンジやベリー系等の果実の香り。はたまた花や木の根のような香りなど様々です。
こうした香りの特徴は国・地方・農園によって異なりますので、コーヒーの味のバリエーションは無限といってもいいでしょう。
COE(カップ・オブ・エクセレンス)とは
◎COE(カップ・オブ・エクセレンス)とは・・・
世界中の数あるコーヒーへの称号のなかで、最も権威のある称号です。
- カップ・オブ・エクセレンスのコーヒーは、大変たぐい稀なコーヒーで、非常に少ない数のコーヒーのみがこの呼称の栄誉の称号を受けます。
- カップ・オブ・エクセレンスのコーヒーは、世界中から選抜されたカッパーにより、3週間に及ぶ、少なくとも5段階の審査会で高得点を獲得した素晴らしいコーヒーです。
- カップ・オブ・エクセレンスは肥沃な土壌で優しく触れる太陽の光によって育まれたコーヒーです。ジャスミンの花の香りは、スパイシーなアプリコットと薔薇の花のエッセンスのコーヒーに結びつきます。
- 称号を勝ち取ったコーヒーは、甘さがピークとなる時に収穫されることにより、蜂蜜、キャラメルや甘い果物などを思わす仄かな香りと共に、芳醇な風味を作り上げます。
- カップ・オブ・エクセレンスの称号のコーヒーは、最高の価値の極上の生産物として注意深く取り扱われます。
- コーヒーの風味は、そのコーヒーの木を包み込む狭い空間の気象条件と品種に起因するユニークな表現を持つものです。チョコレートのような、ブラックベリーやレモン、或いはブルーベリーのような風味の中にバニラを思わす風味を発見できるでしょう。
- ロースターは、風味のオイルの中の深いところに隠されている風味をカップの中に再現できます。
- もし、あなたがカップ・オブ・エクセレンスのコーヒーを楽しむことができるなら、限られた幸せな人達の仲間です。一口すすれば”至福の時とは美味しいコーヒーが飲める時なのです”との理由が分かるでしょう。オークションでのみ最高のコーヒーを選べるのです。
コーヒーの木の種類について
コーヒーの木はアカネ科の常緑樹で赤道直下の高地から北緯南緯25度までの『コーヒーベルト』と呼ばれる地帯で栽培されています。 ジャスミンに似た白い花を咲かせ、チェリーのような赤い果実をつけます。
珈琲の豆とはこの果実の中にある種子のことで、通常2個が抱き合わさっています。
コーヒーの木にはアラビカ種、ロブスタ種(カネフォーラ種ロブスタ)、リベリカ種の3大原種があり、それぞれエチオピア、コンゴ、リベリアが原産と言われています。
この内一般にレギュラーコーヒーに使用されるのはアラビカ種で、味わいや香りに優れており、最も多く栽培されています。
ロブスタ種は強い苦みがある一方、香りが弱く、一部を除き缶コーヒーやインスタントコーヒー、ブレンドの増量などに使用されています。
リベリカ種は日本では殆ど利用されていないようです。
アラビカ種も更にティピカ種、ブルボン種、カツーラ種、スマトラ種、ムンドノーボ種、カツアイ(カトゥアイ)種など様々な種類があり、同じ品種でも栽培地域や標高などにより味が変わります。
●ブルボン以外のアラビカ種
●ブルボン
●ティモール系
●交雑種
- ティピカ アラビカ種の中では原種に最も近い品種。収量はやや低めで、病害虫に弱い。優れた香りと酸味をもつ。
- ブルボン ティピカの突然変異種。ティピカ同様古くからの品種であるが、ティピカよりも丈夫で収穫量も多い。丸みのある小粒の豆で、センターカットがS字を描いている。
- カトゥーラ ブルボンの突然変異種。収穫量が高く、中米の主要品種。品質は極めて高いが、手間と施肥にコストがかかる。
- ムンドノーボ スマトラとブルボンの交配種。丈夫で収穫量が高い。ブラジルの主要品種。酸味と苦味のバランスがよく、味が在来種に近い。
- カトゥアイ カトゥーラとムンドノーボの交配種。収穫量は高いが、病害虫に弱い。ムンドノーボに比べると味がやや単調でコクにかける。
- マラゴジッペ ティピカの突然変異種。丈夫で果実が大きいが、収穫量は少ない。多少大味だが、外見が優れているため一部のマーケットで珍重されている。
- ケント インドの品種。生産性が高く、病害虫にも強い。
- カチモール チモール種とカトゥーラの交配種。抜群の成長性と多収穫を誇る。高地産のものは、ブルボンなどと比べると明らかに劣る。
◎コーヒーの木は神経質
コーヒーの木、特にレギュラーコーヒーとして一般に飲まれているアラビカ種の木は大変神経質です。
通常、日当たりが良く水はけの良い山の斜面を好みますが、乾燥に弱く、日当たりが良すぎるのを嫌います。雨を好む一方、水はけが悪いと簡単に根腐れを起こしてしまいます。また病気に弱く、過去に何度か蔓延してある地域のコーヒーの木が全滅の危機にあっています。
赤道に近く、標高の高い山の斜面で霧が発生するような場所を好むので、栽培するほうも大変です。急な山の斜面では機械の導入も難しく、収穫から豆の精製、運搬まで殆ど人力で行っています。
一方、コロンビアやブラジルなどの大規模農場では広大な土地に灌漑設備を設け、木々の間に日除けのバナナを植えるなどして環境を整え、機械を導入して収穫から豆の精製、運搬まで行っています。
現在では品種の改良が進み、病気や環境に比較的強く樹高が低めで栽培のしやすい品種が登場していますが、やはり神経質なことに変わりはないようです。
日本でも研究などを目的として栽培しているところもありますが、気候や土壌が合わないのか、結実しなかったり、しても十分な味にならないようです。
なお、ティピカ種やブルボン種をアラビカ種の2原種として他の品種より味が優れているという向きもあるようですが、品種の差もさることながら、土壌や気候の違い、栽培方法などにより味は大きく違ってくると私は思っています。
トレサビリティーについて
◎近年、コーヒー業界に限らず食の安全や品質の向上の為、トレサビリティーは重要視されています。
●トレサビリティーとは・・・trace(追跡)ability(可能)の用語を合わせた造語で生産履歴の意味を指す。
生産、処理、加工、流通・販売等の段階で、食品の仕入先、販売先、生産・製造方法などの記録を取り、保管し食品とその情報を追跡しさかのぼる事が出来ること。
近年、コーヒー業界でも
「どこの国の、どこの地域、何という農園で採れたコーヒー豆か?」、「豆の品種は?」、「どのようにして作られたのか?」というような生産から流通までの情報を明確にしようという動きが高まっています。
より質の良いスペシャルティコーヒーはトレサビリティーに関しても重要とされています。
サスティナビリティーについて
●サスティナビリティーとは・・・sustain(支える)の意味は、環境をいかに支えるか、という意味になり、企業の環境保護活動を指すようになってきています。
トレサビリティーを明確にすると、それを持続させていくことも重要になります。
コーヒーの生産国の環境や生産者の生活を守る事は、スペシャルティコーヒー の品質の持続にはなくてはならないものなのです。
サスティナビリティーは、2004年のSCAAのテーマでもあり、日本では2006年にサスティナビリティ認証コーヒー委員会が発足しました。